自転車事故の判例
最近、テレビのニュースなどで、自転車による事故が大きく取り上げられています。交通事故の件数自体は、減少傾向にある中で、自転車による交通事故はかえって増加しています。その原因は、自転車が免許制でなく、交通ルールをしっかりと理解しないまま自転車を運転している人が多いといったことがあげられるでしょう。
自転車は道路交通法上、軽車両として扱われ、立派な「車両」であるのです。自動車やバイクを運転するときと同じぐらい注意して自転車に乗ることが大切です。
自転車事故の過失割合は判例で決まる
過失割合が高くなると、損害賠償額がその分減ってしまいます。たとえば、損害額が1000万円のときに1割過失割合が高くなると、100万円も損害賠償額が減ってしまうことになります。
過失割合は、基本的により強い乗り物の方が高くなる傾向にあります。歩行者と自転車なら自転車、自動車と自転車なら自動車がより過失割合が高い=悪いということですね。とはいえ、もちろん歩行者や自転車という、本来弱い立場のものであっても、交通ルールを破っている場合は過失割合が高くなる場合があります。
この自転車事故の過失割合を決める基準となるのが判例です。そして、自転車事故の判例をまとめたものとして、通称「赤い本」というものが使われています。弁護士は、この「赤い本」から、類似の自転車事故の判例を見つけ出してきて、被害者に有利な主張を組み立てていくのです。
自転車事故の判例の紹介
自転車事故の判例を1つ紹介します。「車両が渋滞している道路の左端を自転車で進行していた被害者(12歳)が、操作を誤って転倒し、折から進行してきた加害車(大型トレーラー)に轢過されて死亡した事故につき、日没後、暗い場所で無灯火で自転車を運転し、その操作を誤って転倒した被害者に、50%の過失」(横浜地判S63.2.22交通民21.1.175)が認められています。
無灯火や、信号無視、二人乗りなどを行なっている場合は、過失割合が高くなってしまいますので、注意しましょう。