交通事故の休業損害のポイント
交通事故によって他人に損害を与えた場合は、被害者に対して金銭による賠償を行わなければなりません。これは民法709条と自動車損害賠償保障法(自賠法)という法律で定められています。
そして例えば、交通事故によりケガをした被害者は、仕事を休んで得られなかった収入を休業損害として加害者に請求することができます。
損害額を算出する3つの方法
この損害額を算出する方法には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判基準の3種類があります。そしてこの3つの算出方法のうちもっとも高額になるとなるのが裁判基準なのです。
この裁判基準は弁護士会が過去の判例を参考に基準額を算定したもので、日弁連交通事故相談センター東京支部の作成する「民事交通訴訟 損害賠償算定基準」がこれにあたります。
ですから、交通事故による自己の損害補填のためにはきちんと弁護士に相談し適切な失業損害としての損害額を算出してもらう必要があるといえます。
特に家事従事者の場合、自賠責保険基準では1日あたり5700円を限度額としているのに対し、裁判基準では賃金センサス(賃金額の指標となっている統計。厚生労働省が毎年発表している)をもとに、ケガのため家事労働に従事できなかった期間が認められます。
また、裁判基準では、失業者であっても前職の収入や賃金サンセスによる算出額が認められうることがあります。学生であっても同様です。
なお、裁判基準の損害賠償額が高額である理由としては、最終的に裁判になったときのことも考えられているからです。裁判になれば精神的に疲れたりもしますし、時間や労力がかかります。
もし、交通事故の被害者となり、保険会社等の損害賠償提示額(失業損害のみならず)に納得がいかない場合には、弁護士に相談し、適切な額を算出してもらうのが賢い方法だといえます。