平均賃金とは?
平均賃金とは何なのでしょうか?
平均賃金とは、たとえば交通事故(人身事故)による損害賠償を考える上で、逸失利益を算定するときに問題になってくる概念です。その意味は、わが国の労働者の賃金を平均したものという意味にほかなりませんが、さまざまな問題をはらんでいます。
どうしても専門的になりがちな話題ですが、できるだけわかりやすく、そして難解な法律用語を使うことなく解説してみたいと思います。
平均賃金とは男性と女性で違うものなのか?
この問題は新聞やテレビなどでもよく報道されるため耳にされた方もいらっしゃることでしょう。わが国の統計をみれば一目瞭然ですが、男子労働者の平均賃金と女子労働者の平均賃金には、大きな格差があります。
つまり、同じ事故でも、被害者が男性か女性かで、逸失利益に大きな差が出てくるのです。そこで、家事労働分を女性の賃金に加算すべきという意見も出されているのですが、まだわが国の司法実務には取り入れられていません。
しかし、年少女子の逸失利益については、女子労働者ではなく、全労働者の平均賃金を基準に算定する方針が、東京地裁・大阪地裁・名古屋地裁の交通専門部で事実上採用されていると考えられています。これにより若干の改善がみられていると思われます。