交通事故、民法上の損害賠償
ご自身が交通事故の被害者になられたときに、刑法だけではなく民法にも交通事故の加害者に責任を追及できる規定があります。損害賠償に関する規定で、不法行為責任というものです。刑法上の責任が認められても直ちに損害賠償がされるわけではありませんから、むしろ被害者救済のためにはこちらの民法上の損害賠償のほうが重要であるといえます。
さて、不法行為責任による損害賠償が認められるためには、どういう条件があるのでしょうか。交通事故の被害者Xが加害者Yを相手どって、民法709条に基づき、不法行為を理由とする損害賠償請求をする、という前提で考えます。
この場合、①Xの権利(または法律上保護された利益)が侵害されたこと、②Yが行為をするにあたり、Yに故意があったこと、またはYに過失があったとの評価を根拠づける具体的事実、③②の行為と①の権利侵害との間の因果関係、④Xに生じた損害(およびその金額)、⑤①の権利侵害と④の損害との間の因果関係、の5つの主張・立証をまずしなければなりません。
一応、弁護士をたてずに本人訴訟でこれらの内容を主張・立証することも制度としては可能ですが、専門知識がなければまず裁判所に提出する文書をつくることすらままならないでしょう。不利にならないためにも、法律の専門家である弁護士に依頼することが賢明です。