共同不法行為について
共同不法行為についての民法の規定
民法は、共同不法行為についての定めを、民法719条1項前段に置いています。「数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」という部分のことですね。ちなみに、719条2項では、教唆者や幇助者も、共同行為者とみなして、719条1項の規定を適用することにしています。
共同不法行為制度の意義
普通の不法行為だけしか制度がない場合と比べて、共同不法行為制度を設けることで、権利を侵害された人にとって有利になるところがあるのでしょうか。不法行為制度の競合の事例とどこに違いがあるのかというお話です。もし共同不法行為制度を設けることでなにも有利にならなければ、制度がある意味がありませんよね。そこで、各人の行為が関連共同していることが相当性判断に影響を与え、個々の行為者ごとに損害賠償責任を考えたときには相当性がないとして賠償が認められない損害についても、賠償対象となる可能性があるという点に、共同不法行為制度の意義があると考えられています。ですから、不法行為者とみられる者が多数いる場合は、個々で考えれば損害賠償がとれないような場合でも、あきらめずに弁護士に相談してみることが賢明だといえます。