交通事故による低髄液圧症候群について
当法律事務所では、全国各地からのご依頼をお受けしております。
最近でも、千葉県の方からのご相談で、交通事故によって低髄液圧症候群になってしまったのだが、損害賠償請求することができるか、というものがありました。
千葉県の事例でも言えることですが、交通事故によって負う怪我というのは、はっきり分かる切り傷や打撲以外に、本人の自覚症状のみで、外部的には症状がわかりにくいものが多くあります。千葉県の方がなってしまった低髄液圧症候群もそのひとつで、交通事故と症状との間に因果関係があるかどうかが損害賠償請求できるかどうかとの関連で大いに問題となってきます。
低髄液圧症候群とは
低髄液圧症候群とは、交通事故によるむちうち症などによって、髄液が漏れてしまい、その結果として髄液圧が低下し、めまい・頭痛、吐き気・倦怠感・集中力・思考力・記憶力の低下・後頭部から首にかけての鈍痛などの非常に多岐にわたる、あるいはその一部の症状がみられる状態のことを指します。
交通事故によって発生することが多いのですが、症状と交通事故との因果関係を証明することが難しく、被害者の方は損害賠償を請求する際には苦労することになります。
低髄液圧症候群に関するいくつかの裁判例をご紹介します。
①広島地裁では、交通事故と低髄液圧症候群の因果関係が認められたものがあります。 原告の後遺障害である低髄液圧症候群による逸失利益について10年間にわたり50%の労働能力喪失を認めたものです。
②一方で、名古屋地裁では、因果関係を否定するものがあります。乗用車で停車中に、乗用車に追突され先行車に玉突き追突し、低髄液圧症候群の診断を得て12級後遺障害を主張している者に対し、事故半年前まで以前の骨折による前頭部絞感で受診していること、また、 髄液の漏れの確認は事故4年後であったことなどから、事故との因果関係は認められないとしたものです。
低髄液圧症候群と事故との因果関係が認めれるかはケースバイケースなので、一度弁護士に相談するようにしてください。