不法行為の要件
不法行為の要件とは?
交通事故などに遭われた際に、不法行為による損害賠償請求ができるなどと書かれている本をお読みになった方もいらっしゃるかもしれません。しかし、法律というものは、要件を充たさなければ、その効果を発揮してくれないものなのです。適切に不法行為の要件を考慮した主張をしなければ、裁判所で主張自体失当と判断されてしまう危険があるのです。そこで、不法行為の要件につき、簡単にご紹介いたしましょう。
実務的な不法行為の要件
本屋で不法行為の本を買ってみると、本によっていろいろなことが書いてあると思われます。ここでは、現在不法行為の要件について実務でされている考え方に従って説明いたします。被害者Aが加害者Bを相手方として、民法709条に基づき、不法行為を理由とする損害賠償請求をしていく際に最低限必要な請求原因は、以下の通りです。①Aの権利(or法律上保護された利益)が侵害されたこと、②Bが行為をするにあたり、Bに故意があったこと、または、Bに過失があったとの評価を根拠づける具体的事実、③②の行為(故意行為・過失行為)と①の権利侵害との間の因果関係、④Aに生じた損害(およびその金額)、⑤①の権利侵害と④の間の因果関係、の5つです。