自動車運転過失致死傷罪とは?
自動車運転過失致死傷罪とは、刑法上の罪のひとつです。刑法211条2項に、その規定があります(自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる)。
7年の懲役になることもあるわけですから、相当重い刑罰ですね。これまで、交通事犯については、刑法211条1項の業務上過失致死傷罪が適用されるのが一般的でした。しかし、近年、世論は死亡など重大な結果を伴う悪質な交通事犯に対して厳罰を求めるようになりました。
このような世論を反映して、国会は刑法208条の2、危険運転致死傷罪を新しく設けました。そしてさらに、危険運転に当たらない悪質な交通事犯にも対応できるように、特別類型として自動車運転過失致死傷罪が設けられることになったのです。
注意点は、2007年5月17日成立の「刑法の一部を改正する法律」(平成19年5月23日法律第54号)の施行は2007年6月12日だということです。法律の世界では、新法が施行される前に起こった事件には旧法が適用されますから、この前日より前に発生した交通事故については、自動車運転過失致死傷罪ではなく、業務上過失致死傷罪が適用されるということです。